8.20.2016

ストラディヴァリ クアルテット その2

haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ

セカンド ヴァイオリン

 ストラディヴァリのGパターンより型をおこしました。

”P”はPrimo(第一)の意味で、この”G”はGrande(大きい)を意味しています。
ストラディヴァリのオリジナルの型の上に書いてあります。

 この型よりストラディヴァリはボディの長さ357mm~358mmを意図した大きい楽器を製作しています。アマティの時代より330mm〜350mmが主流だったヴァイオリンより大きいのでこの名前が付けられたものと思います。
 Gより生まれたヴァイオリンは有名な楽器がおおいです。





 ファーストに比べて、セカンドはバスバーを0.5mmほど内側に入れてあります。少し音をぼやかそうというのが意図です。
楽器自体が若干大きいのでエフまわりバランスもとりにくいものとなりました。
今回は隆起の高さは標準にしたもののエフの部分をかなりフラットに作ってみました。
写真では残念ながら見えません・・




裏板の厚みはアマティパターンの縦型です。

ちなみにデータとしてはバスバー込みで表板;
#1 80Hz
#2 156Hz
#5 346Hz
重さはバスバーなしで60,95gです。
10年ぐらい前にアメリカで流行っていたパターンで薄めです。










8.16.2016

Stradivarius Quartetto(two violins, a viola and the cello)

haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ


 ハイドンに始まる音楽の形式、弦楽四重奏。
これにちなんでヴァイオリン属にも四重奏なる物が存在します。

 この度、四重奏を製作する機会を頂きましてストラディヴァリ・クアルテットにいたしました。知名度が高く王道であり基本でるストラディヴァリがゆえに、最も難しく手の抜けないモデルになります。

普通はヴァイオリン2本にヴィオラ1、チェロ1になります。

 材料となるスプルース、メープルは基本、同じ木からとるのが通例で、4本いっしょに作業を進めて行きます。ニスもおなじ物を同じ時期に塗るのがポイントでカラーや雰囲気がにてきます。

 音には特にその特徴がききとれます。
今回も隆起の形状や厚みの分布などヴァイオリン2本は同じにし、ヴィオラはチェロよりに調整。チェロは柔らかめの音にしました。
 4本の音が綺麗に揃うのがいいという簡単な答えではありません。
それぞれの個性が活きて、お互いに競合していくのがいいのかなと思います。
 4本一緒に成長し続けたらこれは大変嬉しい事です。
大事に使って頂きたいです。

 2016年に製作完了し納品いたしました。数年後四重奏で聴ける機会があればその成長もみれるのでしょう。楽しみです。

 ファースト・ヴァイオリン

ストラディヴァリのPパターンです。
若干細身のストラディヴァリ黄金期にも生産されていた形です。






 ヘッドの黒ぶちはストラディヴァリ、グァルネリ、ベルゴンツィ、グァダニーニに見られるキャラクターで当時流行っていた装飾です。
柔らかい雰囲気のアマティ系の楽器から変化を経て、当時指板も黒檀ばり、ペグも黒く塗られるものも見られるようになります。楽器全体のカラーが赤や茶色+黒になっていきます。






 裏板のメープルはスロベニア材です。
杢が強いのですが、重くなく扱いやすい材料でした。