7.23.2015

バロックヴァイオリン 03 ガット弦







ヴァイオリンのガット弦 17世紀末のパターン
G線が銀巻 E、A、Dはアリエス(牡羊)ガット
 バロックヴァイオリンは言うまでもなく、ガット弦が張られていました。

 ガット弦とは羊や牛の腸の皮を絞って乾燥させた紐です。詳しいことはググるとすぐに出てくるとは思いますが、、ようするに天然のものです。



 もちろん金属弦(コアが一本の金属)は16世紀以前より存在しましたが20世紀のはじめまであえてヴァイオリニストたちはガットを選んできました。カザルス、ハイフェッツしかりです・・
 チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ドヴォルジャーク、パガニーニ・・クラッシックファンを魅了する19世紀の作曲家はもちろんガット弦を想定して作曲しています。
 音楽家の意図を読み取る大前提にガットの音はあるような気がします。。




 小生のバロック楽器にはもちろんオリジナルにより近いガットを使用しています。
今回のピリオド・ヴァイオリンはイタリアのトーロ(toro)社のものを使用しました
 ここには言うまでもなくオリジナルのイタリア弦づくりが生きているためです。
 厳密には、一部モロッコから仕入れている物もあるようですが・・・
 (モロッコはガット弦の生産で有名。アラブの民族楽器によく使われ、家畜もたくさんいるそうな。。近年イタリア弦のブランド力が再認識され始めたのでヨーロッパのアウトソージング先がイタリアからモロッコなどの国に移っているとのお話。)
 余談ではありますが、アメリカのダッダリオ、ドイツのピラストロも元はイタリアからの移民が立ち上げた会社でルネッサンス、バロック期に栄えた弦メーカーの末裔です。。




 ガット巻き線(コアがガットに金属の巻)はヴァイオリンでG線、ヴィオラで(G)C線、チェロでGC線で使われ、、当時精製可能な重金属、銅と銀が使われました。ニッケルは1751年、タングステンは1783年、アルミニウムは1825年にようやく単離されたようで、これらのレアメタルが弦になるのは150年以上後の事になります。



コントラバスなどの太い弦は牛の腸で作られることがほとんど
この弦一本で30本以上の腸がよられている
これは漂白されていないもの・・・ビーフジャーキーのような匂いもします。


 ニスコーティング、縒り方などの組み合わせで色々なヴァリエーションができますが、一番重要なのは素材の質、つまりどの腸、さらには腸のどの部位を使うかだったようです。動物の種類から産地までまるで今の食品のような選定のしかたです。。均一でなかったためにヴァイオリニストは店に行き一本いっぽん見て選んでいたそうです。あのパガニーニもこだわりをもっていたらしく、4ストランドのe線を大量に注文し取捨していたとのことです。
 
 現在の機械で巻かれ綺麗にパッケージされた均一のスチール弦、シンテティック弦とは大きく違っていた様子です。