2.17.2013

ヴァイオリン工房の道具



haja&Chi
イタリア ヴァイオリン チェロ 作家
永石勇人 清水ちひろ

 楽器作家にとって道具は楽器の弓の様な物。素材ではないもののそれを引き立たせる大切な相棒たちです。道具はこだわりをもって時間をかけて揃えています。
ヴァイオリンの全行程でたった10分しか使わない道具もありますが、それにこそ愛着をもって時には手作りいたします。

今回は工房でつかわれる道具の一部をご紹介させていただきます。普段の木工でも使われる様なものをピックアップしてみました。



 まずは丸ノミです。基本の道具、和丸ノミはヴァイオリン制作には不向きな場合があるために研ぎやすい西洋ノミです。スイス、ドイツ、イギリスのメーカーのものがほとんどです。イタリア製は戦前までは良い物がで回っていたそうですが、いまは製造業、手工業が下火なため道具の多くは輸入品になっています。




 そしてヤスリです。これまた同じみの道具ですが、これもスイス製。写真の物は細いタイプです。一時は彫金師や時計職人も使っていたものです。日本の手目立てヤスリほどの切れ味はありませんが当工房では気持ちよい作業のため2~3年でサイクルさせます。





 日本の刃物。平のみは日本の職人がうったものをつかっています。鋼は固めで鈍角に研いでも切り口が綺麗です。特にスプルースの秋目と春目をスパッと切るのには必須です。












 コンパス。西洋幾何学の源コンパスは特に美しい道具です。ヴィンテージになるとコレクターも多く種類も豊富です。特に1800年代のものは道具製造からも”いい仕事”がみてとれます。










 ナイフは用途によって様々に研ぎ分けられます。西洋にもナイフを携帯する思想は古くからあり、個人的な道具として各々大切にしています。グラインダーで形をつくり砥石によって研ぎすまされます。ナイフの種類の多さがこだわりの多さだと信じています。
























コントロフォルマとよばれるヴァイオリンの台です。スプルースとカエデはこの上に固定されて表板と裏板に削りだされます。ものづくりの始めとしてストラディヴァリのものに倣いイタリアクルミであつらえました。ストレスのない機構等をいつも心がけ納得のいく物を生み出しています。 と、木製万力です。ヴァイオリン、チェロなどのネック切り出し用に作りました。もちろんhaja&Chi製ですのでヤフオクでは買えません。こちらはアメリカクルミを使用してみました。旋盤の練習もかねて曲線の装飾もありますが、締まりはよく手放せない道具になってしまいました。クレモナではあまり使わないようですが、おすすめしたいものです。








 カンナとマメガンナです。西洋ガンナはイギリス、アメリカ製の一級品を選んでいます。鉄、真鍮、木を使い合わせ機能性はもちろんセンス良く、手になじみやすいものが良いものと思っています。







 最後は道具ではないのですがニカワと鍋です。楽器制作の接着にはニカワが使われます。牛、兎などの皮、骨または魚など色々な種類がありますがカゼインに替わり古から使われた天然接着剤は取り外しができ楽器づくりの必需品です。水溶性で湯煎によって溶かされるニカワの鍋には銅製がよしとされ、骨董市でみつけた小鍋を工房にも一つ用意してあります。

この他にもまだまだたくさんありますが特殊な工具などはまた時期をみて紹介していきたいとおもいます。